蜜月同棲~24時間独占されています~
姉の手が、丁寧に優しくその布を取り持ち上げる。
「お姉ちゃん……それ……?」
それは、確かに姉と一緒に作って、克己くんがどこかに隠したウェディングドレスだ。
だけど、あの時とは随分、雰囲気が変わっていた。
「リメイクしたのよ。柚香がこのドレスを大事にしてるから、無駄にはしたくない。だけどそのままじゃなくて、もっと柚香に似合うように、ってね」
もう少し、襟元もシンプルなデザインだった。
大人っぽい雰囲気を好む新田さんに合わせて、レースは使ってもシックなイメージを壊さないようにしていたのだったと思う。
だけど、今は同じ襟の形でもそこにレースが縁取られ、少し甘さがプラスされた。
そしてドレープが大きくゆったりと入れられ、バックスタイルは豪奢なレースがふんだんに使われている。
「柚香とふたりで散々打ち合わせしたからね、あんたの好みはばっちり掴んであったし」
ドレスをそっと、ソファに広げる。
「あとは、あんたのサイズ合わせでおしまい。せっかくだから髪もメイクも整えたの……だから泣かないのよ! メイク流れちゃうじゃない!」
「だってっ……お姉ちゃん、ありがとう。嬉しい」
涙の滲み始めた私の目に、姉はティッシュを押し付ける。
それから腕を引っ張って立たせたかと思うと、感涙にむせぶ私に迎合することなくテキパキと容赦なくワンピースを脱がせてくれた。