蜜月同棲~24時間独占されています~
「じゃ、私は帰るから」
「うん、ありがとう」
「綺麗よ柚香」
ぽん、と私の頭を撫でる。
さっさとメイク道具をまとめると、克己くんが待っているベッドルームのドアをノックだけしてあっという間に部屋を出て行ってしまった。
ブーケとウェディングベールはまだないけれど。
姉の手で、窓ガラスに映る私は花嫁姿に変わっていた。
かちゃ、とベッドルームのドアノブが回る。
どきりとした。
気恥ずかしさと、微かな緊張が胸の中の同居している。
リビングに入り、私の姿を見止めた彼は、少し目を見開いてそれからゆっくりと表情を綻ばせた。
「……綺麗だ。良く似合ってる」
「そう? あ、ありがとう」
照れくささに目を伏せて笑った。
彼が近づいてくるのがわかる。
「このドレスのために、お姉ちゃんと会ってたんだね……ありがとう」
俯く先に、彼の艶のある革靴が見えた。
大きな手が私の顎に軽く触れ、上向くように促される。
愛おし気に私を見おろす彼の視線や、微かに触れながら顔の輪郭を辿る指がくすぐったくて、目を細めた。