蜜月同棲~24時間独占されています~
「ど、どうしよう!」
「どうしようって、早く出なよ!」
「だって久しぶり過ぎて何喋ったらいいか」
「あんた昨日散々泣いて絡んで甘えといて」
だってそれは酔ってたからで、綺麗さっぱり記憶もないし私には久しぶり以外の第一声が浮かばない。
だけど、このままスルーしてて切れてしまうのも嫌で、一度大きく深呼吸すると思い切って画面をタップした。
「あ、あの……克己くん?」
がやがやと背後で話声が聞こえていて、恐々名前を呼んだ。すると、ふっと息の音が向こうから聞こえて。
『柚香』
柔らかな、優しい低音は私が憶えている声よりも、落ち着いたものだった。当然だ、最後に声を聞いてもう何年も経っているのだ。だけど。
「ひ、久しぶり……克己くん」
『……ふ。久しぶり』
少し間を置いて、含み笑い混じりの声が返ってくる。
ざあ、とさっきまで凪いでいた風が吹く。眩暈がしたのは、その声を聞いただけで時間がきゅるると遡ったような感覚に襲われたからだ。
『ってことはやっぱり覚えてないか』
くすくすと笑う声さえ、以前よりもずっと大人びて、それでもやっぱり克己くんの声に違いなかった。
「どうしようって、早く出なよ!」
「だって久しぶり過ぎて何喋ったらいいか」
「あんた昨日散々泣いて絡んで甘えといて」
だってそれは酔ってたからで、綺麗さっぱり記憶もないし私には久しぶり以外の第一声が浮かばない。
だけど、このままスルーしてて切れてしまうのも嫌で、一度大きく深呼吸すると思い切って画面をタップした。
「あ、あの……克己くん?」
がやがやと背後で話声が聞こえていて、恐々名前を呼んだ。すると、ふっと息の音が向こうから聞こえて。
『柚香』
柔らかな、優しい低音は私が憶えている声よりも、落ち着いたものだった。当然だ、最後に声を聞いてもう何年も経っているのだ。だけど。
「ひ、久しぶり……克己くん」
『……ふ。久しぶり』
少し間を置いて、含み笑い混じりの声が返ってくる。
ざあ、とさっきまで凪いでいた風が吹く。眩暈がしたのは、その声を聞いただけで時間がきゅるると遡ったような感覚に襲われたからだ。
『ってことはやっぱり覚えてないか』
くすくすと笑う声さえ、以前よりもずっと大人びて、それでもやっぱり克己くんの声に違いなかった。