蜜月同棲~24時間独占されています~
ヴァージンロードの両脇に、私たちの家族と友人たちがいる。
その中に当然姉もいて見守られる中進むほど、どうしてか昔の思い出が頭を過った。


ああ、そうだ。
彼が以前昔を懐かしんで言ってたように、確かに私は子供の頃克己くんと姉のふたりを追いかけて泣いてばかりだった。


ふたつの年の差がとても大きくて、遊びにもついて行けなくて一生懸命追いかけて、仕方なくふたりが立ち止まってくれるのを待っていた。


それは大きくなっても同じで、一緒に遊ぶ機会も少なくなった中学生の頃は高校生のふたりがとても大人に見えて遠い存在だった。
やっと高校生になって追いついたと思っても、彼らは一年すればすぐにまた遠くに行ってしまう。


―――克己くん、お姉ちゃん。
―――克己くん、克己くん。


今は近くてもすぐに遠ざかる憧れ。
近づきたくて、子ども扱いでもいいから妹扱いでもいいからと一生懸命追いかけた。


それが今、私のすぐ目の前にいる。
やっと、手の届くほどすぐ傍に。


父の手が私の手を導き、彼に差し出す。
彼が恭しく頭を下げ、私の手を取ってくれたその瞬間、ぶわりと涙で視界が揺れた。


見上げた克己くんの顔が、滲んでしまって見えない。
ベール越しにも、私が泣いていることがわかったのだろう。


「もう泣いてる」


そう言って、小さく笑った。


「……だって。やっと追いつけたって思って」


一度は諦めたのに、今はこうして傍にいる。
それがとても、奇跡のような現象に思えた。



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