蜜月同棲~24時間独占されています~
どうしても今聞いておきたいことがある。


「ウェディングドレス、知らない? 壁にかかってたのがなくなってるの」


大事なドレスの行方が気になった。もしかして姉が戻って来て何かの理由でドレスを持って行ったのかとも思ったが、姉は私の家の鍵は持ってない。だとしたら、やっぱり夕べ送ってくれた克己くんが知っているとしか思えなかったのだが、予想は的中した。


『ああ、そのこともちゃんと話すから。じゃあ』

「あっ」


よほど忙しいのだろうか。本当に用件だけの電話であっさりと切れてしまい、呆然とスマホの画面を見おろす。


「ウェディングドレスがどうしたの?」

「あ……うん。部屋に飾ってたんだけど、朝起きたらなくて」


不思議そうなさやかの質問に答えながら、私は腑に落ちないながらも少しだけほっとした。克己くんが知っているなら、きっとドレスは無事なのだろうとそう思えたからだった。

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