蜜月同棲~24時間独占されています~
「え、どういうこと?」
「言葉のまま。なくなってたの、でも克己くんが知ってるみたいだから……さやか、もう時間!」
あっという間に感じた昼休みだった。
慌ててお弁当を片付けて、オフィスに戻ると、何やら噂話をしていたメンバー数名が私の顔を見て慌てて笑顔を取り繕った。その様子に、ふっと溜息が零れる。
「……気にしないのよ。柚香は被害者なんだし」
「うん」
ぽん、と肩を叩かれ、頷いた。互いにデスクに座りパソコンのマウスを動かすとスリープ状態で真っ暗になっていた画面にパスワード入力の窓が浮かんだ。いつもの数字を打ち込んでエンターキーを押す直前、画面の隅に新田さんと綾奈の姿が写りこむ。
私のデスクは、オフィスの出入り口に背を向ける形だからだ。ふたりで昼休憩に出ていたのだろう。そのふたりに向けて、他のメンバーからこそこそと非難の声が向けられる。
「……ちょっと、堂々としすぎよね」
「神経疑うわー……」
声を潜めていても、私の耳にもはっきりと届いた。当然、あのふたりだって自分たちが何を言われているかわかっているだろう。