蜜月同棲~24時間独占されています~
三月下旬に結婚式を控えていた。
二月の休日の午後、私は婚約者の新田さんに呼び出され、夢見心地の浮かれた顔で待ち合わせのカフェに向かった。
なぜそんなに浮かれていたかというと、午前中はウェディングドレスの最後のサイズ合わせをしていたからだ。
デザイナーである姉が、私へのお祝いに作ってくれたドレスだった。
姉は昨年結婚して、家事と仕事とで忙しいはずなのに私の為なら喜んで、と時間を割いてくれていた。
早く新田さんにも見て欲しくて彼にも伝えてあったのだが、今日は休日出勤で会えないと聞いていたから残念に思っていた。
だが、どうやら出勤ではなかったらしい。
だって今私の目の前にいる彼は、スーツではなかったからだ。
彼の隣には、女性が座っていた。
なぜ、私がふたりの向いに座らなければいけないのだろう?
新田さんの隣は私の場所だと、並ぶふたりを見てまず胸が焼け付いた。
隣の彼女は、青ざめたまま俯いて目を合わせようとしなかったが良く見知った顔だった。
毎日オフィスで顔を合わせて、私たちの婚約を知らせた時にも「おめでとうございます」と笑ってくれた可愛い後輩だ。
「柚香、本当に悪いと思ってる」
「すみません先輩……私、こんなつもりじゃなかったのに……」
ほろほろほろ、と戸田綾奈の目から涙が零れる。
いや、泣きたいのはこっちのほうだ。泣いていいのは私じゃないの?
「綾奈が妊娠した」
すっ……と血の気が引いて、座っているのに立ちくらみのような眩暈を感じた。
二月の休日の午後、私は婚約者の新田さんに呼び出され、夢見心地の浮かれた顔で待ち合わせのカフェに向かった。
なぜそんなに浮かれていたかというと、午前中はウェディングドレスの最後のサイズ合わせをしていたからだ。
デザイナーである姉が、私へのお祝いに作ってくれたドレスだった。
姉は昨年結婚して、家事と仕事とで忙しいはずなのに私の為なら喜んで、と時間を割いてくれていた。
早く新田さんにも見て欲しくて彼にも伝えてあったのだが、今日は休日出勤で会えないと聞いていたから残念に思っていた。
だが、どうやら出勤ではなかったらしい。
だって今私の目の前にいる彼は、スーツではなかったからだ。
彼の隣には、女性が座っていた。
なぜ、私がふたりの向いに座らなければいけないのだろう?
新田さんの隣は私の場所だと、並ぶふたりを見てまず胸が焼け付いた。
隣の彼女は、青ざめたまま俯いて目を合わせようとしなかったが良く見知った顔だった。
毎日オフィスで顔を合わせて、私たちの婚約を知らせた時にも「おめでとうございます」と笑ってくれた可愛い後輩だ。
「柚香、本当に悪いと思ってる」
「すみません先輩……私、こんなつもりじゃなかったのに……」
ほろほろほろ、と戸田綾奈の目から涙が零れる。
いや、泣きたいのはこっちのほうだ。泣いていいのは私じゃないの?
「綾奈が妊娠した」
すっ……と血の気が引いて、座っているのに立ちくらみのような眩暈を感じた。