蜜月同棲~24時間独占されています~
それから暫くして、料理屋を出ると克己くんに送ってもらった。


さっきは再会の感動でろくに見ていなかったけれど、すごく高級そうな車でよくよくエンブレムを見ればBMWのものだった。
なんだか、助手席に座るのも恐縮してしまう。


「今日はありがとう、克己くん。おかげで少しすっきりした」


もうすぐ着くという頃、運転席の横顔にそう声をかけ、笑ってみせた。
心配ばかりかけていてもいけないのだ。


「これで明日も頑張れる」

「明日? 休みだろ?」

「そうだけど、新しい部屋探さないといけないの。今のとこ、今月末に出る予定になってたから急がないと」


社宅ならすぐに入れないかと、実は総務に相談したりもしてみたのだが、今は空いてないという話だった。
四月からの新入社員で、空いていた部屋も全部入室予定だというのだ。


「ああ、そうか。来月から新居に移るつもりで?」


また、克己くんの顔が苦虫を噛み潰したように歪んだ。


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