蜜月同棲~24時間独占されています~
「や……ちょっと待って?」
額を抑えて、前のめりになり俯いて、目の前に置かれた紅茶のカップを掴む。
ひとくち含んで落ち着こうと思ったのに、手が震えてカップを持ち上げることができない。
ふたりの言っていることが、おかしい。理解が出来なかった。
本当に悪いと思ってる?
だったらなぜ、ふたりそろってここにいるのだろう。
こんなつもりじゃなかった?
じゃあ綾奈はどういうつもりで新田さんと寝たのだ。
妊娠した、ということはそういう可能性のあることをしたということだ。
「……なんで?」
ぽそ、と思わず零した声は掠れていた。
一体ふたりは、いつからそういう関係だったのだろう?
妊娠がわかるには、それなりの日数が必要なはずだ。一か月、二か月……それとももしかしてもっと前から私の知らないところで会っていたのか。
ぞわ、と背筋に悪寒が走る。同時に腹の底が焼け付いた。
ぎゅっと拳を握りしめ、なんで、どうしてと責める言葉が続いて出そうになったのを止めたのは正面から聞こえる嗚咽だった。
「悪い、彼女今、つわりでほとんど食えてないんだ。情緒も不安定で」
新田さんの口からそんなセリフが出て、信じられない思いで顔を上げる。
彼は私を見ていなかった。
隣にいる綾奈の背中を労わるように撫でていて、その瞬間、もうダメだと思った。