蜜月同棲~24時間独占されています~
この仕事を頑張っていきたいと思っていた。
けれど、望まれていない状況で、そしてオフィスのあの状態でこの先も新田さんと顔を合わせるのはまずい気がする。
もしかしたら、私が異動という形になるかもしれないがそれにしたって釈然としない。
今なら少し、退職金の上乗せがある。
そうしてでも人件費を削り、長期目線で会社の存続を図っているのだろう。
なら、実家に戻って、そこからまた新しい職場を探すのが一番、無難かもしれない。
結婚が破談になり両親も心配してる。
「……相談、してみようかな」
事情を話せばきっと、すぐに帰ってきなさいって言いそうだ。
だから、ある程度退職の決意を固めてからの相談でなければ、ややこしいことになる。
退職金計算式の書類を見つめ、悩みながら携帯を手に取った。
そんな見事なタイミングで、着信音が鳴り驚いて画面表示を見れば、母の携帯からだった。
ほんとになんてタイムリーなんだ。
「もしもし、お母さん?」
通話に応じながらも、相談すべきかどうかはまだ迷っていた。