蜜月同棲~24時間独占されています~


『柚香? あんた大丈夫? あれから全然連絡ないから心配してたのよ』

「あ……ごめん。なんか色々、忙しくって」


そういえば、破談になった連絡をしたきりだった。
ずっと心配してくれていただろうと思うと、申し訳ない。


『まあ、大変だろうなとは思ってたから。でも声が聞けて良かったわ。親戚にはお母さんから説明しといたから、落ち着いたら柚香からもちゃんとご挨拶しとくのよ』


それは本当にありがたかった。
精神的に参っているこの時に、親戚に一軒一軒説明の電話をして回らなければいけないのは、つらい。


「……ありがと。心配かけてごめんね」

『仕事は大丈夫なの? 新田さんと同じ部署なんでしょ。辛い思いしてない?』


お母さんの優しい言葉に、目頭が熱くなる。
どうしよう、本当に甘えてしまいたくなる。


『無理しないで、仕事やめてもいいじゃないの。もしよかったら一度こっちに帰って来なさい。実家にいてまた一からやり直してもいいんだから。ね?』

「うん……」


受け入れてくれる場所がある。
そう思えただけで、少し気持ちが落ち着いた。


悩んで悩んで、どうにもならなかったら実家に帰ろう、そう思いかけた時だった。


『……実はね、あんたまだそんな気にはなれないっていうかもしれないけど、ちょっと会ってみて欲しい人がいるのよ』


……は?


と、頭の中が真っ白になった。



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