蜜月同棲~24時間独占されています~
「え……え? 意味わからないんだけど……」
『別にね、すぐにどうこうってことじゃなくて! 柚香ちゃんならぜひって言ってくれてる人がいるのよ。辛い思いしてすぐにそんな気になれないのはわかるんだけど』
「あ、当たり前だよ! それってお見合いでしょ!?」
破談になってまだ一か月も経たないのに?
ついさっきまで私を気遣ってくれていた母親が、急に信じられなくなった。
声を荒げた私に、母親は慌てて取り繕うのだけれど。
『だから、お見合いなんてそんなかたっ苦しいものじゃないのよ! あんたも絶対気に入るから、とりあえず一度帰ってらっしゃい』
基本、優しい母親だし気遣いの出来る人だ。
だからこそ、この時の母の強引な物言いは、後から考えれば不自然ではあったのだけれど、この時は頭に血が上ってしまってそこまで気が回らなかった。
帰ってらっしゃい、って。
お見合いさせられるとわかってて、帰るわけがないと思う。
「そんなほいほい帰れないから! 今の職場じゃなくてもすぐに働き口の宛てはあるからもう心配しないで!」
心配してくれてるのは本当のことだから、もうちょっと優しい言い方をすればよかっただろうか。
そう思ったけれど、私はそのまま通話を切ってしまった。