蜜月同棲~24時間独占されています~
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定時少し前、人事部に顔を出して話をして少し遅くなってしまった。
オフィスを出て、駅まで歩こうとした時だ。
「柚香!」
「え?」
突然名前を呼ばれ、俯かせていた顔を上げる。
「……克己くん?」
会社の前で待っていてくれたらしい、克己くんが怖い顔で私に向かって歩いてきているところだった。
「え、どうしたの急に……びっくりした」
どうしてそんな怖い顔をしてるのだろうか、意味が解らずに立ち止まる。
彼はあっという間に近づいて私の肩を掴んだ。
「どうした、じゃないだろ。昨日からずっと連絡してるのに繋がらないし折り返しもない」
「えっ?」
驚いて、慌ててバッグから携帯電話を引っ張り出す。
昨夜、そういえば何度か着信が鳴っていたけれど、てっきり母親からのものばかりだと思い見てもいなかったのだ。
確認すれば、確かに母からの着信もあったけれど、克己くんからの電話も混じっていた。
メッセージも受信していて、私を心配する言葉が並んでいる。
「……ごめん。見てなかった」
「それだけなら良いんだけど……そうじゃないだろ」
一晩経って仕事にも出ているのに、携帯を一度もチェックしてないなんて不自然すぎる話だ。
「ごめん」ともう一度口にして、それ以降言葉に詰まった私の頬に克己くんの手が触れる。
驚いて顔を上げた。
克己くんは相変わらず眉間を寄せたままだけれど、よく見ればそれは怒っているのじゃなくて心配してくれているのだと伝わった。
「何があった? 顔色も悪いし普通じゃない」
そこで私は、我慢していた涙を抑えきれなくなった。
定時少し前、人事部に顔を出して話をして少し遅くなってしまった。
オフィスを出て、駅まで歩こうとした時だ。
「柚香!」
「え?」
突然名前を呼ばれ、俯かせていた顔を上げる。
「……克己くん?」
会社の前で待っていてくれたらしい、克己くんが怖い顔で私に向かって歩いてきているところだった。
「え、どうしたの急に……びっくりした」
どうしてそんな怖い顔をしてるのだろうか、意味が解らずに立ち止まる。
彼はあっという間に近づいて私の肩を掴んだ。
「どうした、じゃないだろ。昨日からずっと連絡してるのに繋がらないし折り返しもない」
「えっ?」
驚いて、慌ててバッグから携帯電話を引っ張り出す。
昨夜、そういえば何度か着信が鳴っていたけれど、てっきり母親からのものばかりだと思い見てもいなかったのだ。
確認すれば、確かに母からの着信もあったけれど、克己くんからの電話も混じっていた。
メッセージも受信していて、私を心配する言葉が並んでいる。
「……ごめん。見てなかった」
「それだけなら良いんだけど……そうじゃないだろ」
一晩経って仕事にも出ているのに、携帯を一度もチェックしてないなんて不自然すぎる話だ。
「ごめん」ともう一度口にして、それ以降言葉に詰まった私の頬に克己くんの手が触れる。
驚いて顔を上げた。
克己くんは相変わらず眉間を寄せたままだけれど、よく見ればそれは怒っているのじゃなくて心配してくれているのだと伝わった。
「何があった? 顔色も悪いし普通じゃない」
そこで私は、我慢していた涙を抑えきれなくなった。