蜜月同棲~24時間独占されています~
「柚香?」
涙で歪んだ視界でも、克己くんが戸惑っているのがわかる。
こんな風にここで泣いて頼ってしまったら、克己くんに迷惑をかけてしまう。
「ごめ、大丈夫。また連絡するから」
手で涙を拭って、克己くんから離れようとしたけれど、彼はがしっと私の腕を掴んで離さなかった。
「そんな顔で帰せるわけないだろ」
そう言った彼の顔は、まだ怖い。
ぐいっとそのまま腕を引かれ、歩かされるとすぐそこに克己くんの車が止まっていた。
「ちょっ、克己くんっ?」
助手席のドアを開け、頭を押さえられて無理矢理押し込められてしまう。
ほどなくして運転席に彼が乗り込んできて、じろっと横目で睨まれた。
……あれ?
怖い顔だけれど心配してくれているのだと、さっきは思ったけれど。
今の顔は、かなり怒っているように見えてしまう。
「……俺、言わなかったか」
「えっ?」
「どうして何も言ってこない? 何かあれば俺に頼れって言ったはずだけど」
低い声に、泣きじゃっくりも止まった。
そんな私からふいっと目を逸らし、どこにいくのかも言わないまま彼は車を走らせた。