蜜月同棲~24時間独占されています~

「それは……」

「何かあったら言えっていったはずだけど」


さっきから、克己くんの表情が怖い理由はこれか、とやっと気が付いた。


「……聞いたけど、そんなの」


確かに言われた。
だけど、本当に言われるままに頼っていいとは、思わなかったのだ。


迷惑をかけることになるのだから、当然だろう。
しかし、克己くんはそれが気に入らないらしかった。


じっと真剣な目で見られて、私は萎縮し多分怯えた表情を見せていた。
だからか、彼はふっと溜息を落としてようやく表情を緩めてくれたのだけれど。


「行く当てがないなら、俺のとこにおいで」

「え?」

「住む場所も用意するし、仕事も俺の会社に来ればいい。今の会社は今月末?」


言いながら立ち上がった克己くんは、ビジネスバッグを手に戻ってきてそこからクリアファイルをローテーブルの上に置いた。


「え、何?」

「うちの雇用契約書。住所なんかはとりあえず……空欄はまずいからここの住所を書いておいて」


ぽんぽんぽん、と決定事項のように克己くんは話を進めていく。


「柚香はネット販売部にいたんだった? HPデザインやネット広告のデザインもやってるからそこを手伝ってもらおうかな」

「まっ、待って! 克己くん!」









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