蜜月同棲~24時間独占されています~
「うん、正直すごく、助かった」
「引越し先もお世話になったんだよね?」
「そうなの。明日なんだけどね、まだ聞いてなくて……」
今の職場にはまだ通わないといけないし、そのことは克己くんもわかっているはずだからそれほど遠い場所ではないはずだけれど。
「また遊びにいくわ。ってか、本当は明日、引越し手伝いに行ってもいいんだけど……」
「いいよいいよ! 業者さんも克己くんも来てくれるって言うし」
「うん、邪魔しちゃ悪いし、やめとくわ」
うんうん、と頷きながら彼女は温かなカフェオレを啜った。
「……別に邪魔じゃないよ?」
「いやいや、邪魔だし。今のあんたには、新しい出会いが必要だわ」
「それって……克己くんのこと言ってる? 幼馴染なだけでそんなんじゃないからね」
にま、と嬉しそうなさやかを横目で睨んで釘を刺しておいた。
お見合いのことは、さやかに話さなくて良かったかもしれない。
母親といい、どうしてすぐすぐ他の人とどうにかなれると思うのだろう。
「えええ。だってすっごく良い人だったし。柚香のこと本当に心配してたし」
「それは、だから幼馴染だからなの」
そうかなあ、と意味深な彼女にそれ以上、構わないことにした。
だってこれ以上その話をしたら、私の方が意識してしまいそうだったから。