蜜月同棲~24時間独占されています~
衣類などの梱包は終わり、化粧品など毎日使う雑貨はとりあえずすぐに出し入れできるようにキャリーバッグに入れた。
急なことだったけれど、元々荷物の整理はし始めていたから、それほど大変でもなかった。
土曜日、朝から克己くんが手配してくれたらしい引越し業者が来て、テキパキと荷物を運び出してくれる。
それほど大きな引越しでもないのに、なぜかトラックが二台も来ていた。
「よろしくお願いします」
へこへこと作業員の人たちに頭を下げつつも、克己くんは中々来ないし私はまだ行先も聞いてない。
作業員の人たちは当然引越し先を知っているはずだが、私がその場所を聞くのも変に思われるだろうし、聞くに聞けずにおろおろしていると、ようやく克己くんがやってきた。
すでに粗方荷物が積み終わり掃除機もかけ終えて、後は私とキャリーバッグと手荷物だけ、という状況だった。
「悪い、遅くなったな」
「克己くん!」
玄関先まで来て、そこで私のキャリーバッグを手に取る。
「柚香は俺の車に乗って。鍵を返しに行くのは?」
「あ、不動産屋さんに寄って、それでおしまい」
「了解。行こう。トラックはもう出たから」
そう言われて、急いで私も靴を履く。
最後にドアを閉める直前、やっぱり少し切なさが込み上げた。
社会人になってから、ずっとここで暮らしていたから、これから生活が変わっていくことへの寂しさと不安があるからかもしれない。