蜜月同棲~24時間独占されています~
「まず……期限だけど」
一通り、が終わったと判断した克己くんが、腕組みを解く。
表情は厳しいままだった。
「本当に、一か月でどうにかなると思ってるのなら、甘い。次の就職先も決まってないのに、貸してくれるとこなんてそうない」
ぐ、と言葉に詰まる。
言われてみればその通りで、私は仕事もなくなることで引っ越し先にも難航することになってしまった。
「就職先だって、そんな簡単なわけはいかないよな」
「……それは、そうだけど」
だからといって、いくらなんでも克己くんの家に居候なんて。
「そんなに長くお世話になるなんて、やっぱりできないよ。彼女は居ないって言ってたけど、克己くんならいつそういう人が出来ても可笑しくないじゃない」
克己くんがモテないはずはなく、寧ろ今誰もいないということの方が不思議だ。
いざ、彼女が出来たっていう時に、私が居候したままでは本当に申し訳ない。
かっこわるい、という感情もあった。
ずっと会っていなくて、久方ぶりの再会のきっかけが破談という時点で情けないのに、そこから住む場所も働く場所もままならなくなって、自分の力でどうにもできないところを見られているのが、情けなかった。
再会するなら、あの頃とは違う、大人になった自分を見せられたら良かった。
そう思うから、克己くんの好意をつい無碍にするようなことを言ってしまっている。