蜜月同棲~24時間独占されています~
落ち込み俯いていると、ぽん、と頭を撫でられた。
視線をあげれば、克己くんが苦笑いを浮かべている。


優しい苦笑いだった。


「別にずっとここに居ろとか言ってるわけじゃない。正直、再会してからの柚香はずっと顔色も悪いし、見てられない」


言われて、つい手が自分の頬を擦る。
もともと貧血気味の体質ではあるけれど、眠りも浅いし確かに食事も減ってしまって、近頃朝の化粧ノリも悪かった。


「まずはここで、生活基盤をちゃんと立てなおせ。それから出て行ったって全然遅くないだろ? 一か月とか決める必要はない」


克己くんの提示してくれた内容は、確かに私にとっての最善だ。
ただ、克己くんに迷惑じゃないかと、私はそれが気掛かりなのだ。


だけど、克己くんは譲らなかった。
続いた言葉は、克己くんの心遣いに違いないのだけれど。


「このまま柚香を放り出したら、俺の方が夢見が悪くなる」

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