蜜月同棲~24時間独占されています~
えっ……?
と、一瞬、自分が何をされたのかわからなかった。
スタスタスタ、とキッチンを出て行くスリッパの音を聞きながら、頭の中が真っ白だ。
今、ちゅって。
ちゅって、なんだった?
なんかこめかみに、触れた気がした。
ことん、とボウルと菜箸を流し台に置いて、今克己くんが触れていったこめかみに手を当てる。
触れたのは多分、キスだった。間違いなくキスだった。
「も、もー、美味しかったってことかな、うん」
誰彼構わず、キスするような人ではないし。
そうだと思いたい。
きっと、ほんとに手料理に飢えててうっかりキスしちゃうくらい喜んでもらえているんだ。
だからちょっとは役に立てているってことだ、うん。
ご飯をよそって、後は全部ダイニングのテーブルに運ぶだけ。
「……あつ、もー」
克己くんの無自覚な行動は、ちょっと心臓に悪い。
手扇で熱くなった頬を扇いで、熱が冷めるのを待った。