蜜月同棲~24時間独占されています~
お茶碗を片手に持ち、はああ、と思いっきり溜息を吐いた私に、正面からくすりと苦笑い。


「気が進まないだろうけど、とりあえず一度、向こうの要望に応えておこうか」

「えっ?」


克己くんだって困るだろうし、当然断ってくれたのだと思っていたのに、意外にも肯定的で驚いて顔を上げる。


「あのふたりの盛り上がり方、すごいからさ。互いの子どもを結婚させようなんて傍迷惑なことで喜んでるんだけど、まあ一度会ってお茶を濁しとけばいいって」


なんでもないことのように淡々とそう言って、ずずっとお味噌汁をすする。


「う、うーん……そんな上手いこと行くかなあ」

「別に、こっちにその気がなければ進みようがないんだから。慌てることないだろ」


箸を一度止め、克己くんの目が真正面から私を見る。


「柚香がまだそんな気になれないだろ」

「……うん」


じっと私を見据える目が何か意味深に思えて、戸惑いながら頷いた。
すると、克己くんは小さく口角だけ上げてまた箸を進める。


なんだか、今のニュアンスが、私がその気になりさえすれば話しは進む、そんな風に感じたのだが。
まさかね、と思い直してぱくりとひとくちご飯を口に運ぶ。


「久々に家族同士で会う。それくらいの気持ちで構わないよ。次の日曜、空けといて」

「……ええっ!? 次の!? げほっ」


驚いて咳き込んでしまった。
次の日曜なんていきなり過ぎる!


本当に、お見合いはなかったことにするんだよね?
咳き込む私を「大丈夫かよ」と気遣いながら苦笑いする彼を、上目遣いに見つめながら。


克己くんが何を考えているのかよくわからないと内心で首を傾げていた。


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