蜜月同棲~24時間独占されています~
案内された日本食の店の個室には、既にふたりの母親がテーブルに向かい合わせに座っていた。


「お待たせしてすみません」


私の手を握ったまま、克己くんが私の母に向かって一礼をする。


「あらあらあら。ふたりともすっかり仲良しじゃない」


母は、ぱあっと顔を輝かせた。
先日私と喧嘩したことなど、気にも留めていないのだろうか。


「柚香が、気後れしている様子だったので」


といつもより少しよそ行きの笑顔で克己くんは言っていたけれど。
私はぷいっと母を無視して、克己くんのお母様に笑顔を向けた。


「おば様、ご無沙汰してます」

「ほんと、久しぶりねえ。こんな形で会えてうれしいわ、柚香ちゃん綺麗になったわね」


おば様は、昔からとてもおしゃれな人で今も綺麗だ。
変な若作りでもなく、年相応の上品なメイクと服で、それでいて実際の年齢よりも若く見える。


さばさばして明るい性格なところも、きっとその美しさを保つ一因だと思う。


家族同士の食事会、と言ってたくせに来ているのはそれぞれの母親のみだ。
まあ座りなさいよと促され、私は母の隣に腰かけた。


向いには、克己くん。
あ、これ。やっぱどう見ても、お見合いの絵面だ。

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