蜜月同棲~24時間独占されています~
運ばれてきた上品なお料理は、さすが美味しくて、つい黙々と箸を進めてしまう。
それは克己くんも同じだった。
母親ふたりは、どうやら電話ではよく話していたようだが会うのは久しぶりらしい。
とてもテンションが高かった。
「もう! 親同士が喋ってたって仕方ないじゃないの、克己。なんか柚香ちゃんと話しなさいよ」
と、おば様に突然話を振られた克己くんは、眉を寄せた。
「んなこと言ったって、今更こんなとこで話すようなことも……なあ?」
私に目線と一緒に同意を求めてきて、私も苦笑いをする。
「あるでしょ、ほら、お見合いの席のテンプレなのが」
「あー……柚香さん、ご趣味は」
横から突かれて、克己くんが面倒くさそうに棒読みで言った。
「えっ、趣味……えーと……読書? あ、買い物?」
「お前、こういう時はお茶とかお花とか言っとくんだよ」
「えっ。じゃあお花……ってやったことないけど」
あくまでお見合いごっこのような会話に、ちょっと力が抜けた。
克己くんも「くくっ」と肩を揺らして笑う。
私もくすくす笑いながら、料理にまた箸を伸ばしていると。
にやにやと嬉しそうな母親が、こそっと耳打ちをしてきた。