蜜月同棲~24時間独占されています~
「か、克己くんっ!?」
驚いて見れば、彼は座布団から横に外れ、膝に手をつき深々と頭を下げている。
これにはさすがの母もかなり戸惑ったのか、驚いた顔で言葉も出ない。
克己くんは構わずに言葉を続けた。
「もちろん、柚香さんの意に添わないことは致しません。ただ、苦しい状況に置かれたまま放ってはおけないと彼女にはもう提案してあります」
「それは、同棲ということ? あんたたちもうそういう仲だったの? さっきも手を繋いで入って来たし、何か変だなと思ってたのよ。お見合いなんてきっかけぐらいにしか思ってなかったんだけど、余計なお世話だったかしら」
「ちっ、違う、そうじゃ」
「再会して、すぐに僕から口説かせていただきました。彼女は当然躊躇っていたのですが、お見合いの話がきっかけで気持ちが固まったみたいなものですね」
「ちょっ!?」
どうしてこんな話になったの!?
おろおろしていると、克己くんが顔を上げ席を立つ。
そして私の隣にやってくると、ぎゅっと手を握った。
おばさまは嬉しそうに私と克己くんを交互に見た。
母もまた同様に目を輝かせている。
「許しも何も、決めるのは柚香だしどうぞふたりでよく話し合ってください。相手が克己くんなら親同士気心も知れてるし」
「ありがとうございます」
「その代わり、迂闊なことはしないでちょうだい。大事にしてやってくださいな」
「おかあさん!?」
まさかの、お許しが出てしまいました……。
ただただ、私一人がついていけずに。
呆然としたまま、私は克己くんに手を引かれ店の外へ連れ出された。