蜜月同棲~24時間独占されています~
何だか怖くなって、後ずさって逃げようとした。
けれど、繋がれた手がそれを許すはずもなく、逆に引き寄せられてしまった。
私を見おろす目が、いつもと少し違って妖しく黒い瞳が揺れていた。
左頬、顎のラインに何かが触れて、びくっと肩が震える。
もう片方の克己くんの手が、そっと指先で撫でるようにそこに触れていた。
その触れ方が、見つめる目が、幼馴染のものではない、そんな気がして怖くなる。
指先だけだった手が、すっと手のひら全体で私の頬と首筋を撫でた時、私は耐えられなくなってぎゅっと目を瞑り身体を固くした。
ぴた、と動きを止める彼の手のひら。
どくどくどく、と高鳴る心臓が、首筋から彼に伝わっていないだろうかと、それも怖い。
しばらく、そうしていただろうか。
やがて手のぬくもりが離れていって、ほっとして恐々と目を開ける。
「……別に、今すぐどうこうってことにはならないし。暫く一緒に住む以上、やっぱり柚香のお母さんには伝えておかないと心配するだろ。住むところがなくなることはわかりきってることだし、聞かれたら嘘を言うわけにもいかない」
見上げると、彼はもういつもどおりの空気に戻っていた。
そうしてまた私の手を引き、歩き始める。
「柚香の望まないことにはならないから、心配するなよ」
その彼の言葉は、私の質問の答えになっていない。
そのことはわかっていたけれど、それをさらに問い詰める勇気が私にはなかった。
けれど、繋がれた手がそれを許すはずもなく、逆に引き寄せられてしまった。
私を見おろす目が、いつもと少し違って妖しく黒い瞳が揺れていた。
左頬、顎のラインに何かが触れて、びくっと肩が震える。
もう片方の克己くんの手が、そっと指先で撫でるようにそこに触れていた。
その触れ方が、見つめる目が、幼馴染のものではない、そんな気がして怖くなる。
指先だけだった手が、すっと手のひら全体で私の頬と首筋を撫でた時、私は耐えられなくなってぎゅっと目を瞑り身体を固くした。
ぴた、と動きを止める彼の手のひら。
どくどくどく、と高鳴る心臓が、首筋から彼に伝わっていないだろうかと、それも怖い。
しばらく、そうしていただろうか。
やがて手のぬくもりが離れていって、ほっとして恐々と目を開ける。
「……別に、今すぐどうこうってことにはならないし。暫く一緒に住む以上、やっぱり柚香のお母さんには伝えておかないと心配するだろ。住むところがなくなることはわかりきってることだし、聞かれたら嘘を言うわけにもいかない」
見上げると、彼はもういつもどおりの空気に戻っていた。
そうしてまた私の手を引き、歩き始める。
「柚香の望まないことにはならないから、心配するなよ」
その彼の言葉は、私の質問の答えになっていない。
そのことはわかっていたけれど、それをさらに問い詰める勇気が私にはなかった。