蜜月同棲~24時間独占されています~
初恋は忍び寄る
燈る感情
「せっかく、柚香も可愛い格好してるんだし、このままどこか出掛けるか」
庭園を少し歩いた後、車に乗りホテルを出た。
「どこかってどこに?」
「そうだな……遊園地?」
「この格好で!? めっちゃ浮くよ!」
スーツとワンピースで遊園地に来てる人なんて、いるだろうか。
どう考えても動きづらいし絶対目立つ。
「デートの定番だろ? 柚香好きそうだし」
デ、デート?
これにはどう反応していいのかわからず、狼狽えた挙句に。
「遊園地好きだけど、この格好では行きたくない」
笑って誤魔化し、スルーしてしまった。
なんか、変な汗が出てしまう。
克己くんが近くに居ることにこの頃随分慣れて来ていたけれど、今日のお見合いで確実に、何か変わった。
「じゃあ、水族館でもいくか」
「あ、それなら。遊園地よりはマシかも」
「遊園地はまた、日を改めて行こう」
驚いて運転席を見る。
今日は、天気が良くて、あったかい。
窓を開けてそこに片腕を預け、片手でハンドルを握る克己くんの横顔は綺麗で、思わず見とれた。
本当に、どういうつもりなのかわからない。