蜜月同棲~24時間独占されています~
一日克己くんにエスコートされ、夕食はフレンチレストランに連れていってくれた。
ヒールで歩きすぎて少し足が痛む私に、つかまればいいと腕を差し出してくれた。
嬉しかった、けれど、思い出すほどに顔が熱を持つ。
寝室でひとりベッドに腰かけ、今日一日のことを思い出しては夢見心地になったり焦ったり、お風呂上りだというのにまた汗をかいてしまいそうだ。
今日は、お見合いをふたりで適当に流し乗り切って、穏便に帰ってくる。
その予定だったはずなのに、何もかもが予定外に終わり、それらをどう受け止めたらいいのかわからない。
……気になってる女の人がいるって言ったのに。
どうして、私にこんな扱いをするのだろう。
今日一日、彼は私をひとりの女として接していたような、そんな気がする。
気のせいなのかな?
だとしたらそんな風に勘違いさせるような態度は止めて欲しい。
新田さんと別れたばかりなのに、とっくに終わった初恋のはずなのに。
心の奥深くに仕舞い込んだ古びたキャンドルに、火をつけられてしまいそうな、そんなイメージ。
ベッドに腰かけ、両膝を土台に頬杖をついていると、がちゃりとドアノブの音がした。