勇気をください。
赤く焼けた肉。
教室に戻った私は、
鞄にから絆創膏を出し、
その頬に貼った。
まだ熱さと痛みが残っている。
放課後、私が靴箱で靴を履き替えていると、
彼が一人でいた。
「よッ!」
私に声を掛けてくる。
「あ、こんにちは」
そう言いきった私を再び焦らせたのは、
近づいてくる彼の顔だった。
そっと私の頬に貼ってある絆創膏に触れる。
「これ、どうしたの?」
「あ…」
顔が熱くなってくる…
「こけちゃって…」
「大丈夫?」
「たぶん…」
「ちょっと傷口見せてみ?」
彼は頬の絆創膏を剥がそうとする。
私は抵抗した。
「ダ、ダメッ!」
遅かった。
そう言ったのは彼が絆創膏を剥がした後。
「これ…ヒドイじゃん」
「…」
なにも…言えない。
「正直に言ってみ?
これ、こけて出来た傷じゃないでしょ」
「…」
私は俯いたまま。
「俺にだけ…本当のこと…話して…?」
「…」