勇気をください。
これでいいんだ…
これで…
常田先輩の事を知った瞬間より、しばらく時間を置いてから、目にジーンという震えが来た。
私はクラスのみんなや、先生に泣くところを見られたくないので、「先生、ごめんなさい。お手洗い行ってきます」と言って、教室を出た。
トイレの個室に駆け込む。
その瞬間に気が抜けたのか、目からは大量の涙がこぼれ落ちた。
いくら止めようとしても、涙は止まらない。
辛かった。
ただ辛かった。
高校に入って、すぐに常田先輩と知り合った。
片思いをして半年。
周りの人にとって、短かった半年だったかも知れないけど、私にとってはまるで一日が一週間に感じた。
「早く学校に行きたい!」
毎日言っていた言葉。
本当に一日一日が長かった。
楽?
むしろ楽なのかも知れない。
一日が短く感じられて楽なのかもしれない。
そう思った時。
私の涙は止まった。
ポケットからハンカチを取り出し、目に付着した涙を拭う。
私は心を切り替えて教室に戻った。