back number
「本当にすごいな。……ハルもアキも」
独り言が思わず口からこぼれ落ちる。
あの日語ってくれた夢に向かって、二人は着実に前に進んでいた。
——そこにわたしが居なくても、関係などないのだ。
「別に大した事ねーよ」
と、今まさにテレビの液晶に映る人物と同じ顔をしたその人は、呆れた様子でこちらを見つめている。
「俺もハルもあの頃と何一つ変わってない」
「……、」
分かっているつもりだった。
だけど、例え二人が変わってなくても、二人を見る周りの目は変わってしまった。
あの頃は誰よりも近くにいたはずなのに、今は誰よりも遠くに感じてしまう。
いつの間に、こんなにも遠い存在になってしまったんだろう。
楽しかった頃の出来事はつい昨日のことみたいに思い出せるのに。
あの頃みたいにわたしの手の届く距離には、もう彼は居ない。
その事実が今はとても切なかった。
プロローグ fin.