琥珀の奇蹟-MEN-
柚希との出会いは、4年近く前、大学の時の友人に、連れて行かされた合コン。
そもそも当時、俺には恋人がいたし、そういった場に行く必要などなかったのだが、当日ドタキャンした友人の代理で、無理矢理頼まれた、人数合わせ要員。
その日の俺は、恋人に義理立てして、女性陣とも差し障りのない程度の会話を適当にして過ごし、あまり乗り気でないそぶりを見せていた。
当然盛り上がってる輪から外れ、しばらくすると、女性陣の中にも自分と同じようにノリの悪い女がいることに気づく。
それが、柚希だった。
後で、その時彼女には想いを寄せてる男がいたことを知って、納得だったけど、だったら何で合コンなんか参加したんだろうか?と、自分のことは棚に上げて思ったりした。
それからしばらくして、つきあっていた恋人には、俺以外に複数の男がいることが発覚。
ショックよりも、1年近く一緒にいて気づかなかった自分にひどく落ち込んだ。
フリーになった俺は、心置きなく合コンやパーティに参加したが、前の彼女がトラウマになったようで、どうにも女性が信用できなくなっていた。
そんな時、偶然にも、また柚希に再会したんだ。
相変わらずノリの悪い彼女に、俺は不躾にも、なぜ合コンに参加するのかと聞くと、柚希は悲しそうに『なんででしょうね?』と、笑った。
その笑顔は、俺の心を少なからず、動かした。
俺は、柚希のことがもっと知りたくて、敢えて自分の情けない身の上を話し、同情を買うように彼女の心に入り込んだんだ。
当然、俺も傷心だと信じ込んだ柚希は、心を開いて何でも話してくれた。
女性は信用できないと思っていたのに、柚希の話だけは何故か信じられる気がしたんだ。