琥珀の奇蹟-MEN-

触れた柚希の身体は思った以上に柔らかく、真綿を抱きしめたように心地いい。

『…隆弘?』

腕の中で、戸惑う柚希の声が聞こえるが、手を放すつもりは毛頭なく、さらに力を込めて抱きしめた。

自分の身体が冷え切っているからなのか、柚希の身体が熱いからか、触れた場所から柚希の温かなぬくもりを感じて、ますます手放したく無くなる。

『ちょっと、苦しいよ?離して…』

軽く抵抗をみせ、俺の腕から離れようと籠める力を、強引に抑えて引き戻し、その耳元で、彼女の名を呼んだ。

『柚希…今日は悪かった』

先ずは、今日の詫びを入れると、一瞬柚希の抵抗が弱まり、後ろから鎖骨に廻した腕に、柚希の手が添えられた。

『…仕事でしょう?仕方ないよ』
『いや、今日だけじゃない。最近、いつもお前を待たせてる』
『もしかして気にしてくれたの?』
『…』

返事の代わりに、またギュッと力を込めて抱きしめる。
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