琥珀の奇蹟-MEN-

『言っとくが、お前だけじゃないからな…俺だって…』

その先は察しろとばかりに、口を噤んだ。

”本当は会いたかった”なんて、むず痒いこと、口が裂けても言えるわけがない。

『そんなの、言ってくれなきゃわからないよ』
『それはお互いだろ?…だいたい、聞き分けが良すぎるのも、どうかと思うぞ』
『何よソレ、我儘言って困らせた方が良かった?』
『…ああ、我慢されて、その間に他の男に取られるよりはな…』

不毛な会話の末、嫌なことを思い出した。

独占欲が自分を駆り立てる。

意味が分からず『?…なんの話よ?』と、キョトンとする柚希を解放し、右手首を掴むと、少し強引に振り向かせ、続けて何か言いたそうに開いた柚希の唇に、自分の唇を重ねる。

『ん…』

柔らかな唇の感触…めまいがしそうなくらい気持ちいい。

触れた瞬間は、驚いたような戸惑いを見せた柚希も、しばらくすると静かに目を閉じ、身を委ね、直に小さな隙間に触れると、更に深くなるキスも受け入れてくれる。

この3年もの間、何度となく交わしたはずのキス。

たかがキスが、こんなに気持ちいいものだと思わなかった。
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