琥珀の奇蹟-MEN-
『湯船、少しぬるいから追い炊きして入ってね』
『ああ』
『あ、ラベンダーのアロマオイルも入ってるけど、気にしないで癒されて』
にっこり微笑みながら、タオルを渡される。
こいつ…あの甘ったるい香りで、俺のその気が失せるとでも思ってるか?
『柚希』
部屋の出口で振り返り、柚希の名を呼ぶ。
『残念ながら、今日は気が変わることはないから、覚悟しとけよ』
『!!』
柚希の頬はみるみる赤くなり、俺はその顔を見て満足してにやりと笑うと、浴室に向かった。
12月25日
まもなく深夜0:00になる。
聖なる夜に訪れた、”琥珀石”が起こした不可思議な奇蹟…。
日付が変わる頃、俺は一生守るべき、一番大事なものをこの腕に抱く。