琥珀の奇蹟-MEN-

製品の在庫がみつかったことを皆に報告すると、チーム内の緊張感も一気にほぐれ、安堵感が広がり、白石などホッとしたのか涙目になって、残ってくれた同僚達に何度も頭を下げている。

後は自分と白石が、工場経由で先方に届けるだけなのだから、他のスタッフには、今日の労いの言葉を添えて、早々に帰るように指示を出した。

時刻はまだ午後8時前。

今日中に、という期限は充分クリアできるが、できるだけ早く届ける為に、急ぎ出かける準備をすると、いつの間にか白石の姿が見当たらない。

『小暮さん、白石は?』
『もう車出しに行きましたよ』
『なんだアイツ…やけに気が利くな』

意外にも、白石の手際の良さに感心する。

一見、ひょろりと色白で、イマドキの頼りなさそうな男だが、人一倍責任感もあり、今回の件は、相当堪えたのだろう。

自身の経験上、こういうミスが成長に繋がることは実感していたから、奴にとってはいい経験になるに違いない。
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