俺様社長ときゅん甘同居
どんな顔して見てるんだろう。
そんな、ほんの少しの興味。
そして、その好奇心からの行動で俺は彼女に落ちた。

元々から、良いとは思っていた。
飲み物の好み、疲れ始めた時に食べたいもの。
そういったものを、欲しいタイミングで出してくれる彼女の事を気になっていた。
ただ、まだ決定的には落ちては居なかった。
約5年の期間一緒に働いてきたが、彼女からは俺に対する興味は感じなかったから。

俺はそもそも女に苦労してこなかった。
あしらいや付き合いは数々こなしてきたけれど、自分からの行動というのはなかなか難しい。

しかし、この日を境にそれは一変した。

雑貨屋を外から覗くと、そこには雑貨を見て楽しんでいる彼女の姿があった。
それは、職場では見ることが出来なかった可愛らしく柔らかな微笑み。
手にしているのはノートと小さなぬいぐるみのストラップ。
ストラップを目線の高さに上げて、眺めながらニコニコと笑う姿に、俺は完全に落ちた。

その可愛らしい笑顔を俺に向けてほしい。
そうやって可愛らしい姿をして出かける時には、隣に居たい。
そんな、強い衝動が胸の内に起こる。

そうしてレジに向かう彼女をみて、見ていたのがバレないように元いたカフェに向かう。
きっと、隠しているのだろう彼女の一面。
しかし、その彼女の一面が俺の気持ちの最後のスイッチを押したのだった。

< 10 / 101 >

この作品をシェア

pagetop