俺様社長ときゅん甘同居
「そうですね。翔子ちゃんや佐伯くんとのやり取りは、たまに鬼のような時ありますけどね」

思わずその場面を思いだしながら返すと

「仕事では妥協は許さないし、自分自身も妥協しないから仕方ないね」

ふふっと笑いながらコーヒーを飲んで言うと

「他にも配ってあげてね」
「はい」

そうして、次は翔子ちゃん、その次は佐伯くんと配って、買ってきた本人の砂川さんに持っていく。

「砂川さん、ありがとうございます。おかげでこのままご飯食べて仕事出来ます。皆助かりました」

そう伝えながら置く。
お皿には疲れた時のハイカカオチョコを2粒載せて。

「皆抱えてる仕事量が多いからな。効率を考えたら、買って帰る方が良いだろって思ったから買ってきただけだ」

そんなふうにサラっと何でもないみたいに言って、それを当たり前のように行動出来る。
この人は、そういう人なのだ。
鬼とは言われても、嫌われてないし、慕われている。
翔子ちゃんも佐伯くんも、ガツガツとダメ出しされても食らいついて行く。
その関係性は少し羨ましくなるくらいのやり取りだ。
こんな師弟関係素敵だなと思う。

「伊藤はどうだ?締め処理間に合いそうか?」
「お昼に外に出なくて済んだので、大丈夫そうですよ」

そう返す。
たぶん、この事務所の中で1番何とかなりそうなのが私だ。
翔子ちゃんも佐伯くんも週明け締切のデザインの仕上げ作業に追われているから。
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