俺様社長ときゅん甘同居
「そうか、なら今夜終わったら飯食べに行かないか?流石に疲れると帰ってから作るのも面倒だろ?」

そう、誘ってきた。
締め日等の忙しく過ごした日には、ちょこちょこと砂川さんは気にかけてなのか、食事に誘ってくれることが年末辺りから増えた。

「そうですね。確かに、帰ってから一人分作るのは面倒です」

帰宅後の疲れっぷりなどから考慮すると、食べて帰るのは合理的だ。

「なら、定時後2時間以内に終わらせろよ?俺も終わらせる」

そう言うと、ポンポンとまたも頭を撫でてそのあとパソコンに向き直って仕事を始めた砂川さん。
砂川さんが今やってるのは、とある企業の新商品のロゴデザインだ。
これは今日17時までだから、今まさに佳境だ。

「分かりました。私も終わらせます」

そうして、皆が差し入れのホットサンドを食べつつコーヒーを飲みながら仕事をする、うちの事務所の月末の風景が広がった。
それを見て席についた私も、ホットサンド食べながらちょこちょことコーヒーを飲み仕事を再開した。

集中力に溢れる職場の外は春の兆しが見えてきていた。
それを横目に仕事に集中する。
集中しすぎて聞き逃した言葉が、のちのち重要だった事に気付かずに・・・

「締め切りが、締め切りがなければ!晶子さんと二人きりになんてしないのに!」

という、翔子ちゃんの言葉を。
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