俺様社長ときゅん甘同居
そして私はと言うと見た目はクール系なのだが、仕事を離れたら少し抜けてて危なかっしいと所長の奥様で友人な詩織には言われている。

ほんの少しの期間でそれを見抜いた翔子ちゃんとはかなり仲良くなり、オフの日にも一緒にお出かけする仲である。
そんな時は私の方が歳上なのに世話を焼かれている。

「えぇ、今日もチーフは絶好調ね。朝から佐伯くんにビシッと言ってたわよ」

そう小声で告げると

「少し落ち着いてから仕上がり確認してもらう事にする・・・」

と言って、翔子ちゃんは自席へ向かった。
鬼上司には少しクールダウンしてもらってからの方がいいものね。
ならば少しの手助けをしておきましょう。
私は席を立つと給湯室に行き人数分のお茶やコーヒーを入れて事務所に戻って配る。
まずは所長の諸月さんから。

「所長、おはようございます。こちらどうぞ」

そう言ってまず差し出すのはカフェラテ。
所長は結構甘党なのだが最近は少しばかり体型を気にするようなのでカロリーハーフなお砂糖を使っている。

「あぁ、伊藤さん。ありがとう」

ふわっと笑う穏やかな感じ。
さながら森のくまさん。
諸月和樹、45歳。
こんなにふわっとしているけれど、デザイン大賞を二度受賞経験のあるデザイン業界では一目置かれる有名人だ。

そして、二度目の受賞後のんびりやりたいとの意向で大手デザイン事務所を退職して独立した。
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