俺様社長ときゅん甘同居
語り合う、想いは同じだから
side 拓

姉を見送った後に事務所を閉めて、俺は晶子の所に向かった。

こういう時、すぐに話さないとダメだ。
長引くほど良くない。
情けなくも、ヘタレでも。
素直に真実を話して、晶子に戻ってきてもらうしか道はない。
俺は晶子以外の人と結婚する気は無いし、晶子と共に居たい。
この先の人生で隣を歩んでほしい人にやっと出会えたのだから。

そうして急いで晶子のアパートに行くと明かりがついていた。
その事にホッとしつつ、晶子の家のインターホンを鳴らす。

「はい」
「晶子、俺。話させてくれないか?」
「はい、どうぞ」

そうして、招き入れられた部屋は綺麗に片付き、明日の引越しの準備は済んでいた。

「今お茶を・・・」
「いや、晶子。ちゃんと話したい。家に帰らないか?」

そう言うと

「ここでも話は出来ますよ?」
「明日出てくのに片付けも済んだ所で、あれこれするよりいいだろ?」
「でも、明日荷物の引渡し・・・」
「下の階の大家さんは鍵さえ返してくれれば荷物の出しの立ち会いはしてくれるんだろ?」
「はい・・・。」
「なら、家に帰ろう?」

こうして、何とか当初の予定通りに今夜から家で過ごすことになった。

家に着いてから、これから先のためのに大切な話をするのだから緊張はするが。
晶子が拒絶の姿勢ではなかった事にホッとしていた。
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