白衣の聖人による愛深き教示

 明転させた画面を震える指で触れる。
 メッセージアプリを開くと、1番上の表示に“kiyoto”という登録名が“新しい友達”として表示されていた。
 一世一代の告白という名の逆プロポーズをして、それを受けてくれた久保泉先生は、スマホで連絡先の交換をしながら丸椅子に座らせた私に言った。

『明後日の土曜、来て欲しいところがあります』

 予定がないわけではなかったけれど、恐らくデートのお誘いであるその言葉を私が断るわけがなかった。

『海乃アクアプリンスホテル、11時にロビーで待っていますよ』

 なんとも奇遇だった。
 その日、私は両親と共にそのホテルへ向かうことになっていた。
 25歳になるまでに自分が結婚すると決めた相手を連れてこなければお見合いするように、と言われていたのだ。
 そして私は、その相手を紹介することなく今日の誕生日を迎えてしまった。

 だけど、事態は好転した。
 ずっと憧れ恋していた先生が、自分と結婚してくれるという。
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