それでも、幸運の女神は微笑む
思っていた以上に弱々しい声になってしまって、唇を噛み締めた。

同情で、解放してもらいたいわけじゃない。


ちゃんと誤解を解いて、また笑い合えるようにしたいんだ。

それなのに、こんなんじゃ駄目だ。



『ラギアたちはたぶん、夕日と私がその・・・キスしてたから、疑ってると思うけど』

〈うん〉

『アレには私も不意打ちで意味わかんなかった、けど、ちょっと考えたんだ』

〈うん〉

『アレは、私のことに集中させて、不意を突くためにしたんじゃないかって』

〈うん。
その可能性もある〉


ラギアはじっと私の目を見て、こてんと首を傾げた。



〈アサヒ、思ってたより冷静だね〉

『へ』


予想外の反応に目が点になるのがわかる。

あれ?え?冷静?


『そういう風に見えるんなら良かったな・・・?』

〈うん。あと誤解してるみたいだけど、俺はアサヒが何かしたとは思ってないよ〉

『えぇ!?で、でもさっき通じててもおかしくないって!』

〈あの時点では可能性はゼロじゃなかったから〉



え。じ、じゃあ今はゼロ?


〈ゼロではないね〉

『おうふ』

〈でも、アサヒはアサヒみたいだから〉

『?』

〈嘘が上手いようには見えない〉


なるほど!
よく顔に出てるって言われる!


『だから、信じてくれたの?』

〈うん。それに、前からあの男と繋がっていたのなら、もう少し言葉が上手く話せると思って〉

『おうふ』



そ、それは嬉しいようなそうじゃないような・・・い、いやいや嬉しいよ!うん!

ただ現実って厳しいよねって思っただけだ。




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