それでも、幸運の女神は微笑む
––––––そうして気がついたら、暗い中、私は見慣れない天井を見上げていた。



『へ?』


ぽかんと口を開けた。

慌てて飛び起きて見たら、そこは見覚えのある・・・



『マーニャと私の部屋?』


暗くてよくわからないけど、確かにマーニャとわちゃわちゃ話していた記憶のある部屋だ。

目を瞬いていると、ドアが開いて。

マーニャが私を見て目をまん丸くした。



「アサヒっ!大丈夫!?」


そうしてパタパタと駆けよって、私の顔を覗き込んだ。


「マーニャ・・・」

「わわわ!やっぱりまだ顔色悪い!寝てなきゃ駄目だよ!」


心配そうな顔で、ぐいぐいと私をベッドに押し込んで、マーニャはへにゃりと眉を下げた。



「・・・ごめんね、アサヒ」


それが謝罪の言葉だと、ぽんこつな私の脳が数秒遅れて理解して、首をひねった。


「すみません、なに?」


なんで謝るのって言いたいんだけど・・・伝わるか?

と、思っていたら、ぐうううううっと私のお腹が鳴った。



一瞬の沈黙。


その後、2人でふきだした。




「あはははは!なんでそこでお腹が鳴るの!」

『あはははは!なんでこのタイミング!』


笑っているうちに、なんだかどうでもよくなって。

私は口元を緩めながら言った。



「マーニャ、ごはん!」


今の私、亭主関白っぽい!




< 113 / 153 >

この作品をシェア

pagetop