それでも、幸運の女神は微笑む
うーんと私は頬をかく。


『まあ、一番ムカついてるのは夕日にだからねぇ』

〈なぜ〉

『騙されたって感じがすごいから、かなぁ』



あんな笑顔をみせておいて、最後の最後にあの仕打ち。

怒んないわけがないじゃないか。


それに比べるとアイナ達の行動は、妥当と言われてもおかしくはない、と思ってしまう。

明らかに私は怪しかった。

どこの誰かもわからない正体不明の人間が、敵と思われる男とキスしてたら誰だって疑う。


・・・即行牢屋行きってのは、まあ、ちょぉーっと異議申し立てたいけど。

それ以外は特に何か暴力を振るわれたりしたわけでもないし。


今はベッドの中にいれるしご飯もくるし。

そんなに怒ることない、よね?


牢に入れられたときすっごい不安で怖くて辛かったんだぞぉ!とか訴える?

いやぁ、そんなの年下の少年少女に訴えるのってちょっと恥ずかしいよね。


年上だからちょっと見栄はりたいじゃないですか!





〈別に訴えても恥ずかしくないと思うけど〉

『ひえええええ!!??ラギア、筒抜けだった!?私の思考、筒抜けだった!?』

〈うん〉


見栄もなにもない・・・!

恥ずかしい!!!


〈ごめん〉

『い、いや、私がいつもすっぽーんって忘れるのが悪いから!うん!謝らないで!』



本当に学習しないな私は!?





〈あと、その様子だとアサヒはわかってないみたいだけど、俺らは十分に酷なことをした〉

『へ?』

「アイナ、アサヒは自白薬を俺らが使ったことを知らない」

「そう、ですの・・・いいえ、それは予想しておくべきでしたわ。アサヒは言葉がわからない異世界からきた人間ですもの」

「教えても?」

「ええ。教えてあげて頂戴。彼女は知らなくてはいけない」





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