それでも、幸運の女神は微笑む
あれ?でも今はここで生活しているわけだし・・・敬った方がいいのかな?

首を傾げる私に、ラギアがさらりと言った。



「名前忘れそうだから、ラギアって呼んでほしい」

「!!!よぶ!」


名前忘れるのは一大事ですよラギアさん!

そっか、確かにみんな愛し子様って呼ぶんだったら忘れそうになるかも・・・。


これからはきっちりしっかり名前を呼ぼう!

ふんすと鼻息荒く決意しているうちに、洗濯物は干し終わった。




「ラギア、マーニャ、ミュレット、シエル、お疲れ様!ありがとう!!」


私はけっこう鳥の糞の襲撃で頭を洗いに離脱していたので、あんまり戦力にならなかった。

ごめんね!!!




「どういたしまして」

「いいっていいって~」

「アサヒこそお疲れ様!!本当あの襲撃の中逃げずによく頑張ってたと思う!」

「これは私の仕事だから、改まって感謝しなくていいのよ」



皆様お優しい!

ミュレットはぎゅっと私の手を握って涙目になっていた。


・・・ごめんねミュレット。私は慣れているからかけっこう平気なんだよ。






***



「まち?」

「そう。アサヒはこの一か月頑張ってたし砦から出たことないでしょう?」



次は廊下の掃除だー!と意気揚々と箒を持って歩いていると、エリィさんに呼び止められた。

そうして提案されたのが、「町に行ってみない?」とのことだった。



「おお!まち!なに、ある!?」

「そこまで大きな町ではないけど、大抵のものはあったはずですよ」

「おおー!」


楽しそう!



エリィさんは握手してからちょくちょく気にかけてくれるようになった。

今では頼れるお姉様ポジションだ。男の人だけど。


いやでも、この見た目ではお姉様としか言えない!

今日も綺麗なコバルトブルーのマーメイドドレスを着こなした彼女・・・彼は、女性の色気が駄々洩れだ。




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