それでも、幸運の女神は微笑む
***


その町の名前はオルー。

砦から30分くらい歩いたところで、ぽつぽつとお店が見えてきた。





「マーニャ、行けない、ざんねん」

「うん」


マーニャは、今日一緒に働いている子が体調悪そうで余裕がないから行けなかった。

すごく残念がってくれた。

私も残念だったので、次は一緒に行こうねと約束して出てきた。





「でも、ラギア、行ける、うれしい!」

「・・・うん」



ラギアは長い睫毛で覆われた目を伏せ、手を握る力を微かに強めた。


・・・そう。私とラギアは手を握っている。


なぜか?

私がすっ転びまくったからだ!


砦の門から出て、よし行くぞといき込んだところで小石に躓いてすっ転び。

砦が見えなくなったところで、土がボコッとなっていたところで躓いてすっ転び。

気をつけようと慎重になったところで鳥の糞の襲撃に遭い逃げ惑っているところですっ転び。

頑張って気を取り直したところでモイ(モグラらしき動物)の穴にはまってすっ転んだ。



それからはラギアが手を握ってくれて、すっ転びそうになったところを引っ張って支えてくれていた。


ありがとうラギア!そしてごめんね!




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