それでも、幸運の女神は微笑む
「アサヒ・・・」

「すみません・・・」



ラギアの目が痛い。

ううううう。
なんで私大人しく下りられなかったんだ・・・。

気分を変えようと思っただけだったのに、調子にのるから!
年上の威厳さんが家出するんだよっ!!





「アサヒ」

「ゔ?」

「気をつけて」

「うん」

「アサヒが怪我したら困る」

「・・・うん」


淡々とした声で紡がれる優しい言葉にコクリと頷けば、ぽんぽんと頭を撫でられた。

・・・ラギアの方がお兄さんみたいだ。




「行こう」


変わらない無表情。

だけど、見える紫の目はなんだか優しくて。


「うん」




溢れた笑みのまま、私はまた歩き出した。









***


木でできた簡素な門前には門番らしき男の人が2人いた。

彼らは私とラギアの服をチラリと見て、鷹揚に頷いた。

若い方が口を開いた。




「パーデティ砦から買い物に来たいのかい?」

「はい」

「ふあ、い!」

「ん?そっちの嬢ちゃんは緊張してるのか?」

「彼女、最近入った新入りで、ここに来るの初めてなんです」

「おぉ、そうかそうか。なんもないが楽しんでくれ、新入りの嬢ちゃんと別嬪さん」

「はい、ありがとうござます」

「ありがとうござます!」



わずかに目を細めて、彼は木の門を開けてくれた。

けっこうわからない単語があったけど、どうやら無事に入れるらしいことはわかった。

門番らしき2人に、にこにこと頭を下げて、私はラギアの後に続いて町に入った。



ついにオルーに到着だ!!




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