それでも、幸運の女神は微笑む
なんだろう。なんの話をしているんだろう。


でも、どことなく真剣な感じがするから、口を挟むのは躊躇われるなぁ。




「俺が外を求めても?
それでも出ない方が良かった?」

「・・・あなた様は」


ボルダさんが、いつもの笑みを消した。

目を丸くして、ラギアを見る。



「“今”、自由を求めるのですか?」

「・・・君たちの活動とは関係ない」

「そうでしょうね。そもそもあなた様は私達に無関心ですから」

「そうでもないけど」

「アイナだけ、でしょう」

「うん」

「相変わらず言葉を飾りませんねぇ」



ふう、と息を吐いて、ボルダさんがまた笑顔を見せた。

私はそっとお腹を押さえる。耐えろ。




「ですが、だとしたらあなた様が“今”自由を求めるのは、やはり」

ぐうーっ




私たちの間を一瞬沈黙が襲った。


私はお腹を押さえてうなだれた。

ああ、耐えられなかった。
お腹の虫・・・!




ボルダさんの言葉を遮って響いた私のお腹の虫は、その後きゅるきゅるといって消えた。

悲しい。




「アサヒ?」

「お腹空いたの?」

「びゅん・・・」


恥ずかしい・・・!!!




顔を赤くしてうつむく私の手に温かな手が触れた。

そろりと顔を上げれば、ラギアが私の目を真っすぐと見つめて頷いた。



「アサヒ、昼食買いに行こう」

「びゅ、びゅぅん・・・!」



ラギア、大好きです!!!





< 141 / 153 >

この作品をシェア

pagetop