それでも、幸運の女神は微笑む
ラギアがまるで私を庇うように背に隠したから、私からは夕日の姿は見えなくなった。

私の手首を握っていた夕日の手も外れた。



え?なんで?

これ、まるで・・・


『彼、もしかして旭のナイト?』


ラギアに守られてるみたいだ。



『ち、ちがう!はず!』

『何その“はず”って。
というか、僕、警戒されてる?』

『警戒・・・されるに決まってるでしょ!』


そうだよ!コイツは魔猪を放ったんだよ!

旭呼びに動揺している場合じゃない!


勢いあまってラギアの横から夕日を睨もうとすれば、スッとラギアが動いて阻まれた。なぜだ。



「アサヒ」

「はい!」

「ニホンゴやめて」

「はい!!」


ごめん!馴染みまくってるもんでつい!

ラギアは全然わかんなかったよね!




『えー?でもそれじゃ旭がわかんなくない?』

「私、聞く、良い!」

『何て言ったの?』

『私聞くのはまあまあ上手くなったってこと!』

『へー?』

「夕日、日本語、やめる!」

「りょーかい。まあ僕はどっちでもわかるからね」

「・・・何しに来た」

「あ、やっぱり君警戒してる?
困ったなぁ。僕は君に興味ないんだけど」

「アサヒだけと話させるわけがない」

「ふーん?随分気にするねぇ、愛子様?」

「わかってたの」

「うん。まぁねぇ。
でも、僕が話したいのは旭だけなんだよねぇ」

「駄目」

「なんで?」



突然、ひやりと夕日の声音が冷たくなった。





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