それでも、幸運の女神は微笑む
ぎょっと目を見開いてあわあわすれば、ムッシェさんは私が何が言いたいのかわかったらしく、穏やかな笑みを浮かべて首を振った。

ついっとみっつ指を立てて、その後アグネシアとチェナティッドにそれぞれ片手を置く。

そしてぎゅっと両手を握って握手。


ええと、みっつって3だよね?

ぎゅっと両手を握るのって仲良くしましょう的な意味だよね?


つまりつまりー

3年前にアグネシアとチェナティッドは和平を結んだ、ってことかな!?


確かめることができなくてむずむずするけど、そう間違ってはいないはず!



私はうんうん頷いて、ほっと息を吐いた。

良かった。そこまで危険な場所ではないみたいだ。


そう気を緩めた時。

「ムッシェ」



鈴を転がすような声が聞こえた。


ドアの方を見れば、ふわふわとした顎下までの金髪にコバルトブルーの瞳をした、華奢で儚げな美少女が立っていた。

丸襟のブラウスの上にお仕着せみたいな紺色の足元まであるワンピースを着ている。


服装と顔が何とも言えずミスマッチ。

なんて言うんだろうな。このお方になんてもの着せてるんですか!と言いたくなるっていうか。

纏うオーラ?雰囲気?が高貴っていうかそんじょそこらのお嬢さんじゃないっていうか。

つまるところ、やんごとない感じがハンパないってことです!



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